劇場版名探偵コナン「銀翼の奇術師(マジシャン)」は2004年に公開された作品です。
この作品の特徴の一つに、クライマックスでコナンたちが飛行機を着陸させるというところがあります。
コナンたちが載った飛行機の機長が毒で操縦できなくなり、コナンと蘭が飛行機を操縦しました。
この飛行機着陸ですが、本当にできるのかって考えますよね。もちろん、アニメ映画なので多少は無理を通している部分もあるかもしれません。
というわけで今回は飛行機着陸はありえるのかについて、見てみました。
さらに、実際の飛行機事故も3つ見てみたいと思います。
※ネタバレあり
「銀翼の奇術師」のあらすじ
「銀翼の奇術師」は前半と後半で内容が分かれています。
前半は舞台会場で、コナンと怪盗キッドが宝石を巡って争います。
宝石は盗まれなかったのですが、怪盗キッドには逃げられてしまいました。
その宝石は舞台女優が身に着けていたもので、それを盗まれずに済んだために、コナンは小五郎たちと、北海道に打ち上げに行く流れになります。
そのために、飛行機で北海道へ移動することになります。しかし、その飛行機の中で毒殺事件が発生します。被害者は舞台女優ですが、被害者についた毒を機長が口に含んでしまい、操縦できる状態ではなくなってしまいます。
コナンは、変装していた怪盗キッドとコックピットに入り、機長の代わりに空港へ着陸を目指すことになります。
素人の蘭が飛行機の操縦はありえない?
「銀翼の奇術師」内でも見られましたが、現在の航空機には自動操縦があるので、ある程度の高度がある場合は問題ないようです。
以下のサイトに解説が載っていました。
飛行機の自動操縦はいつから始まり、終わるのか?? - Skyart JAPAN
ただし、着陸時はマニュアルでの操縦のため素人の蘭にできたのかは疑問ですね。まあ、普通に考えればありえない気がしますね・・・
空手の都大会で優勝するほどの蘭なので運動神経はいいとは思いますが、初見で着陸を決めるのは、難しいのではないでしょうか。
ちなみに、コナンはハワイで親父にセスナの操縦を教わっていたため、飛行機の操縦ができたようです。
なお、セスナはアメリカの飛行機のメーカーです。セスナが小型飛行機を指すのは日本だけの話です。
「ハワイで」操縦をしたようなので、必ずしも小型とは限らないでしょうね。
補足ですが、飛行機の操縦席には機長と副操縦士の二人がいます。
主に操縦するのは機長で、副操縦士はその補佐を行うようです。
従って二人のうちどちらかが操縦できれば、一応問題はないですね。
そもそも、不時着は可能なのか?
「銀翼の奇術師」では、燃料がなくなったため、どこかに不時着することになります。
そこで、コナンは室蘭港の「崎守ふ頭」に不時着することにしました。
ところで、本当に「崎守ふ頭」に不時着はできるのでしょうか?
細かい検証をされているサイトがありました。
劇場版名探偵コナン『銀翼の奇術師』における、ジャンボ機の室蘭崎守埠頭への緊急着陸は可能なのか検証してみた – AeroSpace Univ.
話が難しかったのでよくわからなかった(笑)
ですが、結論としては高い操縦技術があれば不時着は可能のようです。ですが、蘭の操縦ということを考えるとやはり、現実的にはありえないと言えそうです。
メーデーで紹介された事故
参考までに、実際に起きた飛行機事故を3つ見てみます。
カナダのCineflix社が制作した「メーデー!:航空機事故の真実と真相」で紹介されている事故です。
この番組は1つの飛行機事故に焦点をあてて、その時の様子や当事者のコメントを紹介しているものです。
飛行機が燃料切れで不時着?「ギムリー・グライダー」
実際に、燃料切れにより不時着した事故があります。
この事故は、ギムリー・グライダーとも呼ばれています。
事故のきっかけは、ヤードポンド法による単位とグラムの勘違いが原因で、燃料の量を間違えた積んでしまったことです。それにより、燃料不足になり、旧カナダ空軍ギムリー空軍基地へ不時着します。
飛行機の燃料はポンドという単位を使用しますが、グラムと混同してしまったようです。
詳細はwikipediaにも載っています。
「銀翼の奇術師」では、乗客の一人が誤ってクロスフィードバルブを開いたため、燃料が脱落したエンジンからもれました。
飛行中に燃料が漏れた?「エア・トランザット236便滑空事故」
こちらも、燃料がなくなって不時着した事故です。
2001年に発生した事故です。この事故を題材にした「フライト236」という映画もあります。
こちらの事故は、飛行機が離陸したときには十分の燃料が積まれていたのですが、途中で燃料が漏れたため燃料切れになったというものです。
燃料切れの原因は、簡単に書くと片方のエンジンが整備段階でミスをしていたことにあります。
細かい解説はwikipediaにも書いてあるので省きますが、旧仕様のエンジンのパーツと新仕様のエンジンのパーツを混在させたことで、燃料配管に力がかかってしまい、飛行中に亀裂が生じたようです。
燃料が途中で尽きてしまいましたが、ポルトガルのラジェス航空基地という場所に着陸させ、幸い死者はでなかったようです。
燃料漏れなんてアニメの世界だけかと思いきや、現実世界でも起きていると思うと怖いですね・・・
こうしてみると、「銀翼の奇術師」のような事故は起きてもおかしくないかもしれません。
蘭がクライマックスのピンチを救ったのは、現実世界ではありえないのかもしれませんが・・・
素人が操縦したことで墜落「アエロフロート航空593便墜落事故」
素人が操縦したことにより墜落した事故があります。
「アエロフロート航空593便墜落事故」と呼ばれる事故です。
1994年3月23日のロシアから香港へ向かう飛行機で起きています。
その便に乗っていた交代機長が自分の子供2人(16歳と12歳)に操縦桿を触らせてしまいました。
もちろん、機長の家族と言えどコックピットに入れるのはご法度です。
最初はオートパイロットが作動していたので、問題はありませんでしたが、操縦桿を握っていたことで徐々に機体が傾き、最終的にはオートパイロットが解除されてしまい、墜落に至ったようです。
乗員・乗客は合わせて75名いたようですが、全員死亡しています。
詳細はwikipediaにも載っています。
「銀翼の奇術師」でも素人が操縦していたので、一歩間違えれば全滅でしたね・・・
絶対にまねをしてはいけない・・・
ちなみに、「銀翼の奇術師」では毒殺された舞台女優は勝手にコックピットへ入っています。そのときに、機長と副操縦士は舞台女優の手をとってキスをするのですが、それが原因で毒を摂取してしまいます。
いかなる理由があろうとも、機長室に部外者を入れてはいけないですね・・・
この機長はたぶん首か謹慎処分でしょう(笑)
銀翼の奇術師、いま見るとコックピットがガバガバすぎてこの飛行機どうして落ちなかったんだ
— 藍 (@rann_626) November 8, 2022
まず機長が寝不足、一般人をコックピットに入れる、それが原因で運行不能状態に陥る、函館空港大炎上(地上被害甚大)、崎森埠頭損傷……これ機長と副機長まとめて首飛ぶ裁判沙汰よな
銀翼の奇術師、あまり評判良くはなかったけど私はめっちゃ好き
— みあゆ (@miayuayu) May 1, 2020
あれは推理映画じゃなくてパニック映画
あの機長と副機長はあの後どうなったか気になる…クビかな
まとめ
この記事では、「銀翼の奇術師」のラストの飛行機着陸がありえるのかと、実際の飛行機事故を3つ見てきました。
結論としては、素人の蘭では着陸は難しく、現実的にはありえないと言えそうです。
ただ、「銀翼の奇術師」で起きたような事故はアニメだからというわけではなく、現実で起きても不思議ではなさそうです。
少なくとも現実世界では、部外者をコックピットには入れないでほしいところです。