「から紅の恋歌(ラブレター」は劇場版名探偵コナンの21作品目で、2017年に公開された映画です。
この作品の特徴と言えば、競技かるたが題材となっているところです。和葉の恋敵として現れた大岡紅葉と競技かるたで対決したり、事件現場にかるたの札が残されたりしています。
ところで、和葉と紅葉はそれぞれ得意札があり、特に紅葉は紅葉に関連する札を得意札としていました。
しかし、百人一首にくわしくなければどのような意味かは知らずじまいで終わりますよね?
そこで、今回はそれぞれの得意札がどのような意味かをまとめてみました。
※ネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
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から紅の恋歌で和葉の得意札は1枚!
和葉の得意札は1枚です。紅葉に勝つために平次の母と特訓をしていた和葉。平次の母から宿題として得意札を決めるように言われたため、それを選ぶシーンがあります。
(紅葉は6枚あるのに、和葉は1枚でいいのだろうか?)
しのぶれど
「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」
ホテルでの特訓の際に、蘭が「好きな歌を選んでみたら」という助言をしました。
その後、和葉が選んだのがこの歌。
歌の作者は平兼盛(たいらのかねもり)。歌の作者の名前に平次の「平」が付いていたためこの歌を得意札にしたことをエンディングの後で語ります。
しのぶれどの意味
意味は「隠していても顔色に恋する思いが出てしまった。人に聞かれるくらいに」ということです。
「色に出でにけり」の色が顔色ということです。
まあ、和葉や紅葉の場合は顔色に出るどころじゃないですがね…
紅葉との対決ではしのぶれどを取る
たった1枚の得意札とあって、紅葉との対決ではしっかり「しのぶれど」の札を取り切ります。
しのぶれどの札は和葉の得意札ということを紅葉も見抜いていました。さらに、紅葉はしのぶれどの札を自身の一番近くに配置し、簡単にとらせないように策を講じてきました。
それを見た和葉は焦り、エアコンの音に苛立ち集中力をそがれます。しかし、落ち着いて平次の「誰かと喧嘩してんのか」という言葉を思い出し、周りの音と喧嘩せずに一体になろうとします。そして、見事に「しのぶれど」の札を取り切りました。
紅葉さん相手に互角に試合を進めている和葉さん。ラスト、敵陣、自陣ともに残り札が1枚になった状態を「運命戦」と呼びます。読み手に勝負の運命を握られているからそういう呼び方をするのだそう。ドキドキしますぅーー😱 #和葉可愛い #紅葉 #運命戦 #から紅の恋歌 #イケズ pic.twitter.com/ydBOhI4K8D
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 20, 2018
から紅の恋歌で紅葉の得意札は6枚!
紅葉は師匠の名頃(なごろ)と同じ札を得意札にしており、それは6枚あります。
今作の犯人は犯行を名頃のしわざに見せるために、犯行現場orターゲットのスマホに名頃の得意札6枚をそれぞれ残していました。
蘭は和葉との会話で百人一首は恋の歌が多いと話しますが、紅葉の得意札は紅葉が入っているだけあり、情景について歌ったものが多いです。
山川に(やまがはに)
「山がはに 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり」
意味は「山の中の川に風によって架けられたしがらみは、なんと、流れきれずにいる紅葉であったよ。」ということです。
要は、紅葉がたまっている川の様子を詠ったということです。
此の度は(このたびは)
「此の度は 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」
意味は「この度の旅は幣を用意できませんでした。今はこの手向山の錦のような紅葉を捧げます。神よ、どうかお心のままに。」というものです。
幣(ぬさ)というのは、神に捧げる供物です。
ようは、幣がないので紅葉を捧げます。ということですね。
奥山に
「奥山に 紅葉ふみ分け 鳴く鹿の 聲きく時ぞ 秋は悲しき」
意味は「奥山に紅葉を踏み分けやって来て、鹿の声を聞く時こそ秋は悲しいものだ。」ということです。
鹿の声を聞く時に秋が悲しいというのはややわかりにくいですが、要は、鹿の声が悲し気だったということですね。
嵐吹く
「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり」
意味は「山風が吹いている三室山(みむろやま)の紅葉(が吹き散らされて)で、竜田川の水面は錦のように絢爛たる美しさだ。」ということです。
要は、竜田川の水面の紅葉が美しいということです。
千早ぶる
「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」
意味は「太古の神の時代でさえも聞いたことがないくらい、龍田川の水面が(一面に紅葉が浮いて)真っ赤な紅色に染まっているとは。」ということです。
歌自体に紅葉という言葉は入っていませんが、紅葉についての情景を詠んだ歌ということで得意札になっています。
歌の意味合いは「嵐吹く」の歌と似ています。
小倉山
「小倉山 峯のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ」
意味は「小倉山の峰の紅葉よ。人間の情がわかる心があるなら、もう一度天皇がおいでになるまで、散らずに待っていてくれないか。」ということです。
要は、小倉山の紅葉が散らないでほしいということです。
小倉山は京都府にあります。
蘭と新一も歌を選んでいる
かるたで対決するのは和葉と紅葉ですが、蘭と新一も歌を選んでいます。
- 蘭:和葉が得意札をどれにするか悩んでいる際
- 新一:大阪から帰る新幹線の中で
以下でそれらも見ていきます。
蘭が選んだのは「めぐりあひて」
「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」
意味は「めぐり会って、見えたのがあなたかどうかわからない間に、雲に隠れてしまった夜半の月のように、すぐに隠れてしまいましたね。」ということです。
要は見つけたと思ったらすぐ見えなくなったということです。
新一を想う蘭にピッタリって感じですね。
ちなみに、映画で和葉は歌の意味を「せっかく会えた友達があっちゅうまに帰ってもうた」と説明しています。
新一が選んだのは「瀬を早み」
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」
意味は「流れが速いので岩にせきとめられた滝川が割れても末には合わさるように、あなたと今別れてもにはきっと逢おうと思う」ということです。
要は、今は分かれていてもいつか会おうということです。
ちなみにこの歌について、園子は「愛しいあの人と今は分かれていても、いつかはきっと再開しよう」と説明しています。
和葉と紅葉の得意札まとめ
今回は、和葉と紅葉の得意札と蘭と新一が選んだ歌についても見てみました。
登場人物の関連 | 札の最初の句 | 簡単な意味 |
---|---|---|
和葉の得意札 | 忍ぶれど | 恋する思いが顔にでてしまった |
紅葉の得意札 | 山川に | 紅葉がたまっている川の様子 |
此の度は | 幣(ぬさ)がないので紅葉を捧げる | |
奥山に | 鹿の声が悲し気 | |
嵐吹く | 竜田川の水面の紅葉が美しい | |
千早ぶる | 竜田川の水面が紅葉で真っ赤だ | |
小倉山 | 小倉山の紅葉が散らないでほしい | |
蘭が選んだ歌 | めぐりあひて | 見つけたと思ったらすぐ見えなくなる |
新一が選んだ歌 | 瀬を早み | 今は分かれていてもいつか会おう |
物語の進行の上では意味を知らなくても問題はないのですが、多少なりとも知識があるとまた違った印象になるかもしれません。
から紅の恋歌から登場した大岡紅葉は原作のほうでも何度か登場しているので、ひょっとしたら本編のほうでもかるたにまつわる話があるのかもしれないですね。
から紅の恋歌は21作品目の映画ですが、その前後の作品などについても記事を書いているのでよかったら見てみてください。
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