至高のアニメ思考

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映画『きみの色』感想・考察。色の輝き、三人の個性、三人の道

(PR)本ページはプロモーションが含まれています。

『きみの色』は2024年08月30日に公開されたアニメ映画です。

監督は山田尚子さん。『けいおん!』のアニメや映画の監督を務めた方で、『映画 聲の形』などのアニメ映画監督でも知られる方です。

監督の名前を詳しく知らない私も『けいおん!』の名前を見て、「なるほどね」となりました。

けいおん!』シリーズは見ていましたし、アニメ界隈に名を刻んだ名作という印象があります。

 

『きみの色』は完全オリジナル作品ということで、より監督や脚本などの自由度も高くなりそう…

音楽と高校生がテーマ!ということは『けいおん!』の面影があるのか?

ということでいったいどんな映画だったのかの感想や考察を書きました。

 

※ネタバレを多少含みます。

 

予告映像。あのMr.Childrenが主題歌とは!

主題歌のタイトルは「in the pokect」

youtu.be

 

そのミスチルの主題歌に合わせたムービーもあります。

youtu.be

 

 

映画『きみの色』感想・考察

色で結ばれた青春

冒頭でバレエを踊っていた少女。日暮トツ子(CV:鈴川紗由)は人の色が見えるという能力みたいなものを持っていました。

後の展開を考えると見えるというより感じるといったほうがいいのでしょうね。

色っていうと細かく考えると無数にありますが、そんな細分化されてる感じでもありません。暗めの色もありません。光り輝く感じ。

バトル漫画とかだと強い敵の"気"とか"覇気"とかを感じるみたいなやつでしょうね。

トツ子の場合だと自分と仲良くなれるとかそういう人に強い色を感じていました。

なんなら吸い寄せられるというレベルかもしれません!

で、青い色を放っていた作永きみ(CV:高石あかり)と緑の色を放っていた影平ルイ(CV:木戸大聖)と会ったときに、藪から棒にバンドをやろうと誘うわけですね。

 

何とも言えない色を感じて、そのまま行動してしまうトツ子。その色がはじける感じはトツ子の尋常じゃない興奮と気持ちの高ぶりが伝わってきます。

こういう感情の表現や演出がこの映画の魅力ではないでしょうか。言葉では難しいのですが。

 

けいおん!』のこともありましたが、この3人は同じ高校ですらなくなってます。トツ子の通う高校も宗教系で、よくありがちな高校ではありません。

「いよいよ『きみの色』ならではの"色で結ばれた青春"が展開されていくのかぁ」って思ってました。

また、「一生音楽やっていく!」じゃなくて「この時を満喫する」って感じ。

これが"かけがえのなさ"をひきたててくれるんですよね。

トツ子はある意味脇役

トツ子は主人公という位置づけですが、ある意味脇役的ないい働きをしてくれます。

そもそも、トツ子が声を掛けなかったら3人がバンドを組めなかったというところがあります。

色を感じるトツ子だからこその奇跡的な結束!

という意味では主役的でもあります。高校も別となった状況ですからね。

 

ですが、その後の展開できみを寮に連れ込んだところはサポート役です。

そのほか、持ち前の性格で3人の仲をいいかんじにほぐしてます。

ライブではボーカルではなく、キーボードとして参加。ラストのシーンではきみの背中を押すなど、ある意味脇役という印象でした。

なぜ、トツ子がいい脇役だったのか。

それはトツ子が他人の色、輝きを強く感じるところから、きみやルイのきれいな色を見たいという本能的な行動なのでしょう。

自分のことより他人を強く感じているんです。おそらく。

そして、それがきみやルイの葛藤や迷いを振り払っていったんです。3人はそれぞれの思いがあったのですが、将来を含めて自身の道を決めていくところが熱いです。

 

また、主役的な発想なら「私たち(僕たち)の歌で沸かせるぜー!」みたいになりそうですが、そうではない。「3人の持ち味、個性を存分に出しましたー!」っていう流れですね。

 

最後にはライブできれいな輝きを音にのせて観客にも届ける。きれいな色が見えるのはトツ子だけですが、音はみんな聞こえますから。

音にのせて感激、感動を共有する流れは素晴らしく、観客が愉快に踊る演出は視聴者を爽快感に浸らせていきますね。

 

もちろんトツ子が脇役っていうのは"ある意味"です。特にシスター日吉子(CV:新垣結衣)とのやり取りで自分の迷いを解消していくところは主人公!シスター日吉子もいいキャラなんですよね。最初は味方かちょっとわかりにくい感じなんですが、やっぱりいい人。

テルミンという楽器が気になる

音楽がテーマの作品は多数ありますが、『きみの色』ではテルミンという珍しい楽器が登場してます。

ルイが空中で手をごにょごにょ動かしてましたが奇妙な姿とも言えます。

個人的には珍しい楽器が好きなので、面白い取り組みだと思いました。

ギター、キーボード、ドラム、ベースみたいなオーソドックスなバンドでもいいのでしょうけど、珍しい楽器が出てくることでオリジナリティがある感じがするので。

曲が独特な感じってのはいろいろな音楽アニメであるんですが、珍しい楽器を混ぜるっていうのもいいですね。

当然、曲だって3人を象徴する感じに仕上がっていてよかったです。

3人がそれぞれで曲を作るっていう展開も意外とない気がします。よくあるのはなんかメインの曲があってそれをやるって感じではないでしょうか?

そもそも、曲を作るって簡単ではないでしょうからね。リアルを追求する作品だとまあないでしょうね。

 

テルミンに関する山田監督のインタビュー記事もあるので載せておきます。

やはりオリジナリティあふれる仕上がりが生まれてるんですよねー。

アニメーション映画「きみの色」、世界最古の電子楽器「テルミン」をバンドに加えた理由とは:【エンタメ】

 

映画『きみの色』感想・考察まとめ

『きみの色』はトツ子が感じる色が導いた青春物語で、そのきれいな描写や3人がまとまっていく流れが爽快感や感動をもたらしたのではないでしょうか。

色もそうですが、キラキラと輝く光の感じが特徴的です。

 

音楽がテーマにありがちな、大きな挫折などのネガティブ要素はほぼなく、明るい展開が特徴的です。

主人公のトツ子が引っ張るという感じでもなく、"いい脇役"の仕事をしてくれて、3人の相乗効果でラストのライブへと仕上がる流れが見どころです。

 

冒頭で監督について書きましたが、山田監督の代表作として申し分ない作品ではないでしょうか。

なお、第26回上海国際映画祭では、金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞されています。日本作品としては5年ぶりの快挙のようで、評価の高さがうかがえます。

(情報源は以下の記事より)

アニメーション映画「きみの色」、世界最古の電子楽器「テルミン」をバンドに加えた理由とは:【エンタメ】

 

余談ですが、コミカライズ版が無料で読めます。(2024年9月中旬時点)

映画では省略されていたシーンもあって素晴らしいです。単行本が発売されているのでいつまで無料かはわかりません。

comic.webnewtype.com

一応こちらも載せておきました。試し読みで1話は無料です。