「世紀末の魔術師」は劇場版名探偵コナンの3作目で1999年に公開された映画です。
この映画の特徴といえば、20世紀末に滅亡したロシアのロマノフ王朝の遺産を巡って怪盗キッドを巻き込んだ事件に発展していくところです。
さらに、作品の中で「バルシェ肉買ったべか」という謎の言葉が出てくるのですが、それが事件解決への重要の伏線になっていたりします。
今回は、事件の解決のカギとなるロシア語についてまとめてみました。
※ネタバレを含みます。注意してください。
世紀末の魔術師はロシア語で何と読む?
タイトルの「世紀末の魔術師」はロシア語で
「ヴァルシェーブニックカンツァーベカ」
「волшебник конца века」
と読みます。
今回の映画では、これが重要な場面で出てきます。
夏美の「バルシェ肉買ったべか」が伏線
コナンや小五郎たちは、もう一つのエッグを見るために、横須賀の城にやってきていました。
横須賀の城では、秘密の地下室の入り口を見つけましたが、地下室に入るためには暗号の入力が必要な状況に。
そして、地下の入り口のパスワードは城の主である香坂家にまつわるロシア語である可能性が高い…そんな中で、
コナンは香坂夏美が幼いころに記憶した「バルシェ肉買ったべか」が実はロシア語ではないかと推理します。
同じく同行していたロシア人のセルゲイが「バルシェ 肉 買ったべか」と似たような語呂のロシア語がないか、頭をひねります。
「ヴァルシェーニーク…カッターベカー…」
「うーん」
「ヴァルシェーニー…」
- ・セルゲイ・オフチンニコフ
-
ロシア大使館の一等書記官。エッグはロシアの財産であると主張し、鈴木財閥の元を訪れていました。
中国人であるはずの浦思青蘭が発音する
青蘭もエッグを見るために、コナン達と横須賀の城に同行していました。
夏美の「バルシェ肉買ったべか」に近いロシア語について、しばらくセルゲイが悩んでいるときに、
「それって、ヴァルシェーブニックカンツァーベカじゃないかしら」
と、しっくりくるロシア語を流暢に発音したのが青蘭でした。
セルゲイもしっくりきた様子で
「そぉぉうか!ヴァルシェーブニックカンツァーベカだ!」
と発言します。
このパスワードは正解で、地下室への扉は開きました。
ところで、なんで中国人の青蘭さんがロシア語を…?とはならずそのまま地下へ進みました。
浦思青蘭はラスプーチンの末裔だった
彼女は中国人の浦思青蘭と偽っていましたが、実はロシア人でした。なぜ正体を偽っていたかというとラスプーチンの末裔だから。
ロシアのロマノフ王朝と親しかったラスプーチンの末裔としてエッグを奪おうとしていたのです。
そして、青蘭の正体はスコーピオンというスナイパーでもありました。
セルゲイの様子にじれて発言してしまった?
セルゲイのなかなか出てこない様子にじれたのかわかりませんが、
「それってヴァルシェーブニックカンツァーベカじゃないかしら」
と青蘭はせきをきったように話してしまいます。
ロシア人であることは悟られたくないはずですが、こらえきれず?発音したのでしょうね。もしかしたらコナンに正体がバレた原因の1つかもしれませんね?
ヴァルシェーブニックカンツァーベカの意味とは
ロシア語、英語、日本の対応は以下の通りです。
言語 | ヴァルシェーブニックカンツァーベカ |
---|---|
ロシア語 | волшебник конца века |
英語 | The Last Wizard Of The Century |
日本語 | 世紀末の魔術師 |
セルゲイは「ヴァルシェーブニックカンツァーベカ」について英語では「The Last Wizard Of The Century」と話します。
続けて青蘭は日本語だと「世紀末の魔術師」という意味だと説明し、一同は騒然。
なぜなら、怪盗キッドの予告状の締めにも世紀末の魔術師と書かれていたからです。
ちなみに、Google翻訳にかけると「時代の終わりの魔法使い」になります。
Google翻訳なのであくまで参考程度ですが、映画に合わせて語呂が良くなるようにに変えている可能性はありますね。
映画のタイトルが「時代の終わりの魔法使い」ではね…
まあ、「世紀末の魔術師」から大きくは離れていないでしょう。
映画タイトルにもある「世紀末の魔術師」ってどういうこと?
- 世紀末の魔術師と呼ばれていたのは香坂貴市
- 香坂貴市は香坂夏美の曽祖父(ひいおじいさん)
- 香坂貴市はロマノフ王朝の細工職人
- 1900年のパリ万博でその技術力を称賛されたことに由来
簡潔にまとめるこのようになります。1900年は19世紀末ですので、世紀末の魔術師と呼ばれたということです。
「世紀末の魔術師」が地下室のパスワードとなっていたのも、香坂貴市が世紀末の魔術師と呼ばれたことになぞらえたものだったのです。
地下室に眠るエッグへたどり着くまでのからくりもかなり難解に作られており、エッグの仕掛けによる光景はまさに壮観といえる美しさでした。
そのため、小五郎も香坂貴市のことを「まさに世紀末の魔術師だったんですな」と感心しています。
怪盗キッドの予告状にも「世紀末の魔術師」が使われていた
怪盗キッドの予告状にも「世紀末の魔術師」の記載がありましたが、キッドもこの事実を知っており、インペリアル・イースターエッグを作ったのが香坂貴市ということも知っていました。
キッドが予告状に世紀末の魔術師と名乗っていたのは、鈴木財閥が持っていたエッグを本来の持ち主の香坂家へ返すためでした。
映画タイトルがそのまま作中に出てくる作品はまれ?
「世紀末の魔術師」という言葉が本編にそのまま出てきますが、コナン映画でこのようにタイトルが直接本編に出てくる映画って少ないですよね?
コナン映画1作目の「時計じかけの摩天楼」もタイトルは作品内ででてきませんし、考えてみるとそのほかの作品も同様に直接タイトルが出てきてないことが多いことに気づきます。
他の作品だと「紺碧の棺(こんぺきのジョリーロジャー)」くらいでしょうかね?
香坂貴市のロシア語のスペルが間違っていた?
地下のパスワードを入力する際に、世紀末の魔術師の前に「きいちこうさか」とロシア語で入力するシーンがあります。
城の主の名前だからということで入力しますが、実はその入力の際にロシア語のスペルが間違っています。
映画の表記(誤):кииуи косака(きいうい こうさか)
正解の表記 :киити косака(きいち こうさか)
「ち」の部分がちがっているんですね。視聴者にロシア語が分かる人がどれほどいたかを考えると大きな影響はないとは思いますが…
マニアックなネタですが覚えていたら一度見てみてください(笑)
グーグル翻訳でも確認できます。こちらが映画版の表記。「きいういこうさか」になってしまっています。
正しい表記はこちら。ちゃんと「きいちこうさか」になってます。
世紀末の魔術師のロシア語まとめ
今回は世紀末の魔術師に出てくるロシア語についてまとめました。
映画のタイトルを示す「ヴァルシェーブニックカンツァーベカ」の意味とその伏線の内容、そして、地下へのパスワードとなるエピソードへとつながりました。
一見、何の意味もないような「バルシェ肉買ったべか」という言葉が伏線となっているところがミステリー要素があって面白いですね。
ただ、ロシア語の表記で誤りもあって、スタッフもさすがにロシア語だと気づけなかったのでしょうね。
20年以上も昔の作品ながら、今見ても面白い要素が詰まっている作品と言えると思います!